義歯 専門のある日常を過ごしたい

恐怖の表情を見せられた被験者は、予想どおりちゃんと前頭野を使った。 ここはいろんな「なぜ」や「どうして」を整理して理解する場所だ。
恐怖の表情を前にして、前頭野は「ちょっと待て、オレはこれを見て怖がるべきか?それはそうとこの顔は誰だ?いままでに見たことあるか?」と問いかけている。 ではなぜティーンエイジの脳はちがう場所が反応したのだろう?それは、前頭野の回路がまだ十分につながっていないためだと研究者は推測する。

恐怖の表情というのは、社会で生きていくうえでとても重要な手がかりだ。 思春期の子どもは、そんな手がかりに対して理性的な中枢ではなく、情動的な中枢で反応している。
ひょっとすると、ティーンエイジャーがたいした理由もないのに過激な行動に突っ走ったり、感情を爆発させるのはそのせいではないのか?Yもそう考えている。 おとなの脳は前頭野が反応するがゆえに、衝動を抑えたり、感情が暴走しないようブレーキをかけたり、論理的な推測ができる。
だがティーンエイジャーにはそれができないのだ。 こうした実験結果だけでは、まだ断定は下せないとYは釘を刺す。
とはいえ彼女は別の研究で、さらにおもしろい相違を見つけている。 とくに思春期の前半、子どもは「ワニの脳みそ並み」の扇桃で情動を処理するだけでなく、そもそも情動をまちがって受けとることが多いのである。
たとえば恐怖を怒りと勘違いするし、顔の表情も正しく読みとれない。 ティーンエイジャーの精神がとっちらかっていることを示す、新しい証拠も出てきた。
サンディエゴ州立大学のR・Mたちは、子どもが身体的成熟を迎える2~3歳になると、情動を識別するスピードが最大20パーセントも低下することを発見した。 その状態は数年間続き、正常なレベルに戻るのはやっと18歳ぐらいになってからだという。
「思春期の脳は、シナプスが急激に増えたあと、刈りこみが行なわれる。 つまりまだ改造中なので、前頭野の回路が効率よく働いていない」のだとMは説明する。
こうした研究結果から、ひとつの可能性が浮上してくる。 ティーンエイジャーとおとなでは、世界の見えかたがまるでちがうのではないか。
人生経験が少ないので、社会のなかで発信される合図を正しく理解できない。 また前頭前野が未発達で十分に機能していないから、ものごとの前後関係(彼女が顔をしかめているのは、さっきいやな目にあったから、あるいは上司にどなられたからであって、僕を嫌っているわけじゃない)が推測できない。

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